西アフリカにおけるネリカ米普及に向けた取り組み

 私は、現在、アフリカ・ライス・センター(Africa Rice Center [Africa Rice]) に事務局があり、サブサハラアフリカへのネリカ (New Rice for Africa: NERICA、アフリカのための新しいコメ) の普及を担っているアフリカン・ライス・イニシアチブ(African Rice Initiative: ARI) の栽培専門家として、西アフリカの気候、社会、経済条件に適した陸稲ネリカの栽培方法の開発に国家農業研究・普及システム(National Agricultural Research & Extension System: NARES) と共に取り組んでいます。稲栽培面積のうち40~50パーセントを陸稲が占めるといわれる西アフリカにおいて、陸稲を主食としている西アフリカの中山間地小規模農家向けの技術も考慮した栽培方法の開発を目指しています。


 栽培方法の開発は、まず、西アフリカでの陸稲栽培方法を知ること、およびネリカの栽培特性を明らかにすることから始まりました。9つのARIパイロット国から活動可能な4ヵ国(ベナン、マリ、ガンビア、ギニア)を選択し、NARESの研究・普及員と農家の畑を訪問したり、品種試験を実施したりしながら、研究員に播種法、施肥法、データ収集方法など圃場試験に関する技術指導をし、ネリカの収量性や早稲性などの特性を明らかにしてきました。また、Africa Rice内でも毎年1ヵ月間の稲栽培研修を実施し、肥料の計算方法、データ収集および処理方法など基本事項の研修をしてきました。これまで40名以上の研究員・普及員を研修した結果、現地試験でのデータ精度や稲生育に対する理解が向上しました。現在は、解明された栽培特性に基づいたネリカの栽培方法の開発(施肥時期や播種方法など)をNARESと共同でおこなっています。


 近年、アフリカでは都市部を中心に米の消費が増大し、アフリカ各国の米輸入量が増加していることから、輸入米に負けないような国産米の競争力強化(割れ米を減らしたり、白米のサイズを揃えたりといった高品質化)や栽培目的の商業化が顕著になってきています。このような都市部向け国産米の商品強化を支援することは、大規模灌漑区や米を換金作物としている地域には大変有効で大規模地域での食糧安全保障を担っています。


 その一方で、米を主食としているにもかかわらず、資機材投入の見込みの低い中山間地小規模農家に対する村レベル・家族レベルといった極小規模な食糧安全保障や貧困削減をどのように支援・解決していくのか、NARESの研究員・普及員と一緒に考えていくこともとても重要なのです。

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ギニアの陸稲畑。幹線道路や村から歩いて2時間以上かかることも

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農家圃場訪問

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現地試験圃場での活動風景(稲生育の説明)


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研修後に自分達でデータを取れるようになってきた(収量調査用サンプルを選択中)

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大規模灌漑水稲作

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中山間地小規模稲作農家と陸稲