野生動物と人が共存できる森をめざして(野生生物と人間の共生を通じた熱帯林の生物多様性プロジェクト)
「ぽこぽこぽこ・・・」満月の夜、キャンプのそばでシルバーバックのドラミングが響く。昨夕は、追跡していたゴリラのグループとキャンプの北約500メートルの場所で別れたから、あのあたりに寝ているのかな?とテントの中でうつらうつらと回想にふけるのがなんとも心地いい。
2003年4月にゴリラの人付け(注)のためにガボンのムカラバに来てから7年が過ぎた。これまでに公園周辺の村人たちにはどれだけ助けられ、またいろいろな問題をいっしょに乗り越えてきたことだろう。そして2009年9月にJICAとJST(科学技術振興機構)のプロジェクトが始まってからは、多くの日本人研究者とガボン人研究者が協力して、この国立公園で調査研究をすることができるようになった。
ムカラバ・ドゥドゥ国立公園はガボンの南に位置し、熱帯雨林とサバンナが混在する野生動物と植物の豊かな公園である。ゾウやバッファロー、ゴリラ、チンパンジーなど大型ほ乳類も豊富で、特にゴリラはガボンの中でも特に密度が高いといわれている。
私たちが行っているゴリラやチンパンジーの調査では、村人に森を案内するトラッカーをお願いし、同じ場所でキャンプをしながら、朝から夕方まで森を一緒に歩く。とても長時間一緒にいるのでちょっとしたいざこざが起こることもあるが、お互いに深いところまで分かり合えるようになる。また、一緒に研究について話し合うこともあり、時には熱いディスカッションにまで展開する。村人たちは、私たちと一緒に働くことで「自分たちの森」が持つ自然の豊かさ、それが実際自分たちの生活にどんな影響があるのかを考え話し合う機会を持つことができる。
人と野生動物の共存といっても、現状は多くの問題がある。ここでは多くの村人が畑を持ち自給自足の生活をしている。また近くには大きな川が流れ、そこにすむ魚は彼らの重要なタンパク源である。しかし畑の作物が野生動物に食べられるなどで村人は被害を受ける一方で、魚の捕れない季節に野生動物を狩猟する村人もいる。これらの問題の解決策の一つとして、まずは自然資源利用の現状を把握するため、村では経済生活調査も始まった。
私たちのプロジェクトは、この公園の生物多様性の豊かさを現地の村人に理解してもらい、自然資源をできるだけ影響がないように維持利用する方法や、野生動物肉に代わるタンパク源について一緒に考えることだ。将来的には研究者と現地の人が一体となって他からの観光客に胸を張って「自分たちの森」を紹介できるような、そんな公園、そんな村を目指している。
(注)餌などは使わずに長期間追跡をすることによって人間への恐怖心を解き、人間の存在に慣れてもらうこと。

ムカラバ国立公園は森とサバンナが混在する

大木の下で休憩をするトラッカーたち

木の上でのんびり昼寝をするゴリラたち

鼻を高く上げて周囲のにおいをかぐゾウ

ゴリラの目からはどのように人間が映るのだろう?

日本人研究者、ガボン人研究者と村人たち