「一村一品」のために頑張る帰国研修員たち
ここマダガスカルで、かの有名な「一村一品運動」(注)が、独自の形で花開こうとしています。マダガスカル経済産業省の職員であるファブリスさんが、一村一品運動の発祥の地である日本の大分県で研修を受けたのは、2009年3月でした。帰国後、彼は、他の帰国研修員と一緒に企画書を準備し、JICAマダガスカル事務所に支援を依頼しました。日本から帰国して半年が経った後でも、彼の「一村一品」にかける熱い想いは揺らぎませんでした。政情不安の影響で、援助活動がスムーズに進まない環境の中、ようやく最近になって、「帰国研修員フォローアップ事業」として、彼らの活動を支援する条件が整い、ファブリスさんの想いのつまった計画が実現する運びとなりました。
彼がまず考えたのは、自分の目で見て学んだ「一村一品」のコンセプトを、最も生活の厳しい地域の住民達に直接伝えるためのセミナーを開催することでした。首都アンタナナリボから車で10時間ほど南下した、南部のイウシという地域のセミナー会場で、彼は熱く語りました。一村一品運動に取り組むことが、いかに個人の生活を豊かにし、ひいては村や組合や地域全体が協力し合い団結することによって、住民同士の結束も強まり、地域全体が元気になることにつながる、ということを。
大分県の農協直売所の写真の数々。一つ一つビニール袋で丁寧に包まれ、整然と並べられたサツマイモの写真を見たとき、住民達は「おおーっ」と歓声を上げました。きっと、普段自分達が日常的に栽培し食しているサツマイモを、「ビニール袋で包む」という単純なことが、付加価値をつけるのだ、という新しい概念に気づき、感動したのでしょう。
ファブリスさんの住民に向けられた言葉は、彼の心の奥底から発せられていました。それは、単に日本で研修を受けて帰国したのだから、義務としての報告会をこなさなくては、という安易なものではなく、何とかこの素晴らしい一村一品というツールを活用して、マダガスカルの農村部の生活を良くしたい、この国の経済のさらなる繁栄に少しでも貢献したい、という想いから、自然に発せられた言葉でした。
ファブリスさんは、セミナー開催のみならず、広報のためのチラシやポスター製作、啓発ビデオの現地語翻訳等も既に終え、今後はポテンシャル産品調査等、さらなる活動を実施するべく、準備を進めています。彼が架け橋となって実現した一村一品の試みは、まだ始まったばかり。マダガスカルでどのような形で花開くのか、今後が楽しみです。
(注)1979年に当時の平松守彦大分県知事(現・大分一村一品国際交流推進協会理事長)が提唱した運動。それぞれの地域が特産物を生かして国内外に通用する商品を作り上げることで、住民による地域活性化を目指す。(広報室)

帰国研修員が作った一村一品の紹介ポスター

セミナーに聴き入る住民達

地方の産品1:テーブルクロス

地方の産品2:麻を使った民芸品

南部のイウシ郡知事と、ファブリスさん(左端)