シマと農家と時々チキン

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マラウイは「Warm heart of Africa(アフリカの温かい心)」と呼ばれ、とても穏やかで明るい人々が住む。同じ立場において平等であることをすこぶる重視し、零細農家が日雇い労働に出て稼いだ給料の半月分を孤児に寄付するなど、助け合おうとする風潮が見られる。そんな気質は内戦が起こらなかったゆえんでもあろう。


一方、それは悪平等として、成功者を妬み陰で呪う一部の風潮にもつながっている。リスクを負うには狭すぎる農地とコミュニティー内におけるしがらみ。グループ化して新しく事業を運営することが難しい面があった。そのため政府や外国の支援が終了すると同時に地方政府や村人が活動を実践しなくなる例も少なくなかった。


そのマラウイで頻発する土壌浸食。原因は土壌浸食を促す農法と薪炭材を得るための木の伐採だと考えられ、肥沃な土壌の損失、貯水池の土砂堆積による水力発電量の低下をもたらしていた。JICAはこれらの問題を解決すべく技術協力プロジェクトを実施している。


プロジェクトが対象としているのは244村の全農家。日当などの報奨がない中、プロジェクトが普及する農法や育林の実践率は、アフリカの国々で実施されているほかのプロジェクトに比べて高い。なぜか―。「選ばれた人だけではなく、自分自身もできる農法で収穫が3倍になったから」と村人は言う。ある村長は「プロジェクトは、村にある資源だけで私たち自身の手で生活の不安を減らすことができることを教えてくれた。だから私たちは実践し続ける」と話す。


外部者には把握しきれない異国や異階層の状況、そこには多くの不確定要素がある。そうした中でプロジェクトが目指すべきことは、強引に植えさせた100万本の木ではなく、村人自身が本当に必要だと感じ日常的に実践できる活動の仕組みや、技術や制度への信頼を構築し、そして村人の自信を醸成することだろう。


材木工場で働くエンジニアに会った。大学に行きたいという彼はその理由を「大学で学んで起業したい。私も工場によって救われた。だから同じように、貧しい村の人を雇いたい」と話していた。今までなかった経済機会を自分以外の村人も得られるようにしたい、それが外部からの強制ではなく自発的な思いとして生まれたことに感動さえ覚えた。


開発援助には政策から農村までさまざまな入口がある。しかし共通するのは、「今の状態を変えたい」という被援助国側の自発的な思いを支えていくこと、それが外部者のできることだということだ。そしてまた、主食のシマにチキンを添える喜びだけではなく、シマを安心して食べ続けられるという将来の展望。そうしたセーフティーネットに根差した援助を行っていかなければ貧困の連鎖は断ち切れないと感じた。

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偏食で栄養失調に陥る幼児。亡くなる子どもも少なくない

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ある村で。手前は堆肥作りのコンポスト。可能な改善に取り組む

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材木工場のエンジニアたち。起業したいと夢を語る


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シマ(左)とおかずの卵焼きや野菜。チキンは普段は食べられない

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