玉手箱
私の任地は首都から車で1時間ほどのトロディという町で、主に農村の女性たちの生活向上を目的とした活動をしている。
電気は1日8時間(16時~0時)、水道も2時間程度の供給である。
文化的な生活をもちこんでいる人もいるけれど
私は冷蔵庫もつかっていないし、お風呂はバケツ1杯の水浴び。
最貧国といわれるニジェール、それでも外国人の私のそんな暮らしに
現地の人さえ時折苦笑する。
しかし、ここでの生活にはそれをおぎなって余りある魅力もある。
以下、私のお気に入りのひととき・・・
-畑の時間-
朝から畑で過ごしているのだが、9時半頃になると、「そろそろレクレアシオンの時間だ! ちょっと待ってなさい」と言って出かけていく。
レクレアシオンというのは、学校のちょっと長い休憩時間。先生や子どもたちのために、近所の女性たちがおやつを売りにやって来る。
畑のおじちゃんもそれを楽しみにしていて近くの中学校まで買いに行くのだ。
戻ってくると、「たくさん食べなさい」と私にもコウコ(ミレットのお粥)やダンブー(ミレットやとうもろこしなどを細かく砕いて蒸したもの)、コプトー(葉っぱ。季節によってはキャベツやハイビスカスなどが入っている)(注1)をすすめてくれる。
木陰に座り、心地よい風に吹かれながらおやつをつまみ、おしゃべりをする。
-村の時間-
村で、野菜栽培に関する活動や改良かまど(注2)の普及などを行っている。
村の女性たちはとても働き者。パワフルな彼女たちにいつも圧倒されている。
皆のもっとも身近で最大の娯楽は「おしゃべり」。
水汲みをしながら、食事の支度をしながら、畑仕事をしながら、髪を編みながら、木陰で休憩しながら、
ニジェールの人々はとにかく皆おしゃべりが大好き。現地語でのおしゃべりはまだまだ難しいけれど、おしゃべりの輪に加わる。
午前中に活動をすると、 皆と一緒にお昼ごはん。大皿を囲んで手でたべる。
大勢でたべるご飯はおいしい。さらにその後、一緒にお昼寝。
昼間40度を超す暑さだが、風の通る場所でのお昼寝は気持ちいい。
-休日-
時々、ニジェール人の友人宅に行き、一緒にごはんを食べたり、おしゃべりをしたりして過ごしている。
食事の支度をしている時には、いろいろ食材や調理方法を教えてもらう。
「でかけるわよ!」と声がかかり・・・友人や親せきの家に連れていかれてそこでまたおしゃべり。
ちょっとそこまでという調子だったのに、延々と歩いて出かけることもある。道行く人とおしゃべりを始めるのでなかなか進まない。
そしてひたすら歩く・・・
やがて現れる緑豊かなグァバやマンゴーの果樹園。たっぷり収穫したら、
女性たちの頭に巻いている布が風呂敷のように早変わり、果物などを包んで運ぶ。
通りすがりのロバトロッコに乗り、わいわいおしゃべりしながら家に戻る。
ニジェールの人々には見慣れた光景なのだが、広大な大地を染める夕焼けに私ひとり感動する。
夜中になると電気が切れるため見上げる星空は美しく、のんびりとしたおだやかな空気が流れているトロディが大好きだ。 任地に隊員ひとりという環境の私には、笑顔あふれる人々のあたたかさもうれしい。
のこりの任期、約1年。ニジェールの魅力をもっと発掘し、人々との交流を深めながら、充実した活動をしていきたい。
(注1)コプト-は、現地の言葉で「葉」のこと。くたくたにゆでた葉っぱやキャベツに、香辛料などをかけて食べる。
(注2)従来のかまどに比べて熱伝導率が高く、煙の排出量が少ないかまど。薪(まき)の使用量を減らすことができ、煙による呼吸器への負担が軽減される。
(広報室)

畑仕事の合間のFakarey(おしゃべり)。みんなFakarey大好き!

村でのかまどづくり。かまどをつくっていたら・・・牛も参加?!

村でのかまどづくり。こどもたちがわーっと集まってきて手伝ってくれる

女性グループリーダー。リーダーは統率力抜群!

畑にて。畑でもおしゃべりをしたりおやつを食べたり・・・

帰り道の夕焼け。帰り道、大地を染める夕焼け