子どもたちの目を釘付けにしたサイエンスショー
青年海外協力隊員の総会で、科学隊員の活動発表を聞いたのがきっかけだった。任地内だけの活動だけでなく、近くのショッピングセンターで、科学隊員の持つ知識と技術をサイエンスショーという形で多くの人に紹介できれば、ボランティアにふさわしい活動であると興味を持った。
総会の後、そんなことを一人で考えながら隊員と食事をしていたとき、私の任地でもサイエンスショーが出来ないかと相談すると、快い回答を頂いた。私は職業訓練校に配属されており、電気設備の講師として活動している。科学は当然、電気にも関連してくるし、一般の授業より生徒に対するインパクトは大きい。きっと生徒たちも喜んでくれるだろう。話はとんとん拍子に進み、2010年の1月後半開催にターゲットを絞って、翌日それぞれの任地に戻った。
同居している同僚の隊員にその話をすると、彼は2009年11月末に帰国するのでそのサイエンスショーに参加することができない、何とか帰国前に開催できないかと相談された。しかし任地の学校は期末試験に入り、開催は難しい。また、依頼した科学隊員も年内は忙しい。そこで、任地の学校ではなく任地近くの小学校等でできないかと考えた。また当然、科学隊員にも相談しなければならない。帰国を直前に控えた科学隊員に、すぐ電話で相談した。これまた快い回答を頂いた。あとは任地近くの学校の手配だけだ。私の友人に黒人の小学校の校長先生がいる。彼には貸しが多くある。なぜなら、その学校の電気設備や水道設備の故障修理などを、ボランティアでよく引き受けていた。すぐに電話を掛けてお願いをすると、小学校での開催にこれまた快い回答をすぐ頂いた。ついでに他の学校も紹介してくれるおまけまでついた。思い立ってから、たった2日で決まった。こんなにすんなり行くと、気味が悪いぐらいだった。
2009年10月28日、晴天。午前10時、時間通りに校長先生が迎えにきて、我々は小学校へ向かった。任地から車で20分とかからない近所である。ホスト側の先生が生徒たちを校庭へ誘導すると、300人ほどの子供たちが目を輝かせていた。直ちに準備を済ませ、青年海外協力隊の紹介、日本の紹介、日本企業の紹介を私の同僚隊員が行った。続いて科学隊員によるショーの始まりだ。次々と繰り広げられる魔法のような実験は、生徒だけでなく、先生方の目も釘付けにした。ショーの片付け中、私が手品を披露すると、これも生徒たちには大変受けた。二本松訓練所で教わった手品は、アイスブレイク(注)の手法として、南アフリカ共和国に来てからかなり役立っている。
翌日は、小学校の校長先生に紹介していただいた高校で開催した。途中雨に降られたが、高校生たちも目を輝かせながらショーに釘付けであった。全ての日程が終了し、隊員たちと食事の買い物に出かけてみると、あちらこちらで知らない黒人の大人から話しかけられた。聞いてみると生徒の親で、「子供から話を聞きました。とても喜んでいました」と言われ、翌日任地の先生たちからも「息子が大変喜んでいました」などと、お礼を言われた。
2日間で生徒約500名に紹介することができたが、生徒だけでなくその親にまで話が行くとは予想していなかった。きっと青年海外協力隊や、日本人のことなどが家族の食卓で話に上り、それが、彼らの良い思い出になってくれたらなどと、考えながら就寝した。
これをきっかけに、南アフリカ共和国で活動する職業訓練校隊員と科学隊員によるコラボレーションが毎年続いてくれたら、なお一層有意義な活動ができるのではないかと、まだ見ぬ将来の南ア隊員に期待する。
(注)アイスブレイク(アイスブレイキング)とは、参加者の緊張感をほぐすために行うゲームなどのこと(広報室)。

サイエンスショーを行う科学隊員(写真右)

サイエンスショーを行う科学隊員(写真左)。2日間で500名の生徒に披露した

サイエンスショーに集まった小学生たち

2日目に訪問した高校の生徒たちと

隊員の質問に対し、元気に発言する生徒

拍手を送る生徒たち。中には、暑さのために頭から洋服をかぶっている生徒も