ブラジルの警察事情「KOBAN」

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この20年間、ブラジルでは治安の悪さが大きな問題となっています。その対策として「地域警察」の取り組みが進められていますが、その先駆的存在のサンパウロ州で、「KOBAN」や「CHUZAISHO」を中心とした「日本式地域警察」が確立されつつあります。2000年からのブラジル向け研修「地域警察活動コース」、2005年からの「公共保安・地域警察活動プロジェクト」を通して、JICAもこの取り組みに協力してきましたが、さらに「地域警察」をサンパウロ州で普及・定着させ、全国に展開することを目的に、2008年11月から「交番システムに基づく地域警察活動普及プロジェクト」を実施しています。


ブラジルでは、警察というと一般市民とはかけ離れたところにある、どちらかというと怖い存在というイメージがありました。少し治安の悪い場所では、一般市民でも麻薬取り締まりの警察官に銃を突きつけられて尋問を受けることがあるからです。ブラジルで日本の交番システムが支持されるのは、交番に駐在する警察官が地域のおまわりさんという親しみのある存在になるからでしょう。おまわりさんがいることで住民は安心し、警察も町の細部まで情報を得ることができ、さらには犯罪率低下にもつながります。


過去の国連統計で、世界で最も犯罪率が高く、戦争状態よりも危険だとされたサンパウロ市の貧困街に、交番に図書室を併設した事例があります。図書室には本はもちろんのこと、コンピューターが設置され、インターネットも使えます。12キロ先にしか市の図書館がないため、この図書館は移動が困難な貧困層の人々に好評で、子どもたちは、毎日、学校の帰りに立ち寄るようになり、おまわりさんに悩みを打ち明けたり、宿題を手伝ってもらったりするほど仲良くなっています。


交番が住民にとって身近な存在になることは、子どもたちの非行防止にも役立ちます。ブラジルでは、若者が非行に走らないように気晴らしのためのサッカー場を設けるのが定番でしたが、こういう方法もありますね! 2010年3月には、イギリスの全国警察改善機関(NPIA)から、この地域警察の取り組みが表彰されました。


先日、サンパウロに埼玉県警察の渋谷あけみ警部補がJICA専門家として派遣されました。日本から女性警察官が派遣されるのは今回が初めてです。5月12日はサンパウロ州軍警察の女性警察官の日で、56年間にわたる女性警察官の活躍を祝う式典が開催されましたが、渋谷専門家は、現地の女性警察官と共にサンパウロ州知事から表彰されました。


ブラジルでは、1999年には10万人に35.27件だった殺人事件の発生率が、「地域警察」のおかげで2010年には10.47件になり、2011年には9.75件にまで下がる見込みだそうです。国連によると世界の平均は10万人に10件。「KOBAN」のおかげで、ブラジルから「治安の悪い国」のレッテルが取れるのもそう遠くないかもしれません。


交番システムに基づく地域警察活動普及プロジェクト ウェブサイト
JICA国別取り組み ブラジル


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交番の右横が併設された図書室。ブラジルと日本、半分ずつの国旗で日伯協力を象徴している

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交番で指導する渋谷専門家(右)

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国際地域警察普及員研修では講義が行われた


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表彰を受ける渋谷専門家(中央)。右隣はサンパウロ州知事

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