コロンビア少年野球チームが日本遠征で学んだこと(後編)
(「コロンビア少年野球チームが日本遠征で学んだこと」前編からの続き)
日本では同年代の中学生チーム、高校、大学と合同練習や親善試合を組んで、子どもたちは思いっきり日本の野球に飛び込んでいった。日本の選手のきびきびした行動につられて、コロンビアの子供たちもグラウンドの中を歩かずに駆け足で移動するようになり、道具は決して投げずきっちりと並べ始める、そして一度もしたことがないグラウンド整備まで率先して行うようになった。もちろん技術的にも飛躍的に成長した。大半の子供が「コロンビアに帰らずに、日本で学びたい」と言い出した。メジャーリーガーを目指す彼らは「日本で野球を学んだ方が成長することができ夢に近づける」と、肌で感じ取っていたようだ。
同学年との親善試合も何試合か組んだが、大敗することも多かった。最初は自分たちより体の小さい日本の選手たちに負けることが理解できないようだった。しかし日を追うごとにコロンビアの子供たちも気付き始めた。「日本の選手たちは、みんな体は小さいが、集中して練習をしていて技術は遥かに自分たちより上だ。コロンビア人はみんな自分勝手で個人プレーばかりするが、日本の選手たちは全員がチームのために仕事をしている」。普段はプライドが高く、大人のアドバイスも聞かないコロンビアの選手たちが、日本の同学年の子供たちを認め彼らから学びはじめた。それは技術的なことだけでなく、礼儀・協調性・規律・道具を大事に扱うことにまでおよんでいった。
何よりも嬉しかったことは、コロンビアの子供たちが日本で学んでくれたこと以上に、日本の人々もコロンビアの子供たちから多くのことを学んでくれたことだった。日本より遥かに貧しいコロンビアでも、子どもたちは日本の子供たち以上に明るく夢を持ち生きている。お互いがお互いのいいところを学ぶことができたからこそ、今回の遠征が本当に価値のあるものになったと思う。
コロンビアに帰国後、遠征メンバーの子供たちは以前より遥かに集中して、とてもいい顔をしながら野球をするようになった。挨拶もきっちりするようになった。そして大半の子供たちが口々に日本で学んだことを口にする。「もう少し大きくなったらもっと長い期間日本に行って野球を学びたい。コロンビアでは試合に出られなかったら、ふてくされて家に帰ってしまう選手が多い。でも日本は違う。1チームに100人の選手がいて、たった9つのポジションを目指して全員が集中して練習する。そして試合に出られない選手はスタンドで応援する。だからみんな野球がうまくなる。そんな国、日本でもっと野球を学びたい」と。
同行したコロンビア人コーチが言ってくれた。「アメリカやキューバ、ドミニカ共和国、ベネズエラなど多くの野球強豪国から、今までたくさんの指導者がコロンビアに教えに来てくれた。でも、野球の中で協調性や規律を教えてくれたのは日本人が初めてだ。でもそれこそが子供たちの将来に最も必要なことなんだ」と。
私自身残り少ない任期になったが、日本に行けなかった子供たち、ほかの指導者も含めて、彼らのよりよい未来のために努力し続けたい。

グラウンド整備も率先してできるようになりました

試合は集中して戦うも、大敗

京都の大学生とも合同練習

日本語の名前入りベースボールシャツをプレゼントされ大喜び

夜は楽しいバーベキューを日本の子供たちとともに

帰国前日東京の大学生との合同練習時にはだいぶうまくなっていました