禁欲の日々

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 この国のごはんはおいしい。着任してたった一週間後に、ジーパンのボタンが飛ぶほどおいしい。「主食はバナナ」と思い込んでいたが、日本と同じようにお米が食べられていた。違うのは一回に出される量、そしてご飯を炊くときに塩と油を入れることだ。それに「アビチュエラ」と呼ばれる豆を煮込んだものをかけて食べるのが一般的。甘くないお汁粉のあんのようなものである。料理する人によって具は違い、かぼちゃやたまねぎ、ピーマンが入っているのが私の一番のお気に入りアビチュエラだ。使われる豆も数種類ある。日本では味噌汁という形で日常的に豆のたんぱく質を摂るが、地球の反対側でも、豆が食生活に欠かせないものとして存在していることに感動した。豆は偉大だったのである。

 島国ではあるが家庭料理で魚が出てきたことはない。レストランに行けば食べられるがかなり高い。鮮度を保ったままの運搬が難しいのが理由ではないかと思う。要するに、毎日お肉なのだ。日本にいると、「ああ、肉ばかり食べたらだめ」と思う私も、「魚がないから」という言い訳を手に入れてしまうと、食が進んで仕方がない。

 一日のメインは夕食だと思って生きてきた。それも日本の習慣だ。しかし、この国では昼がメイン。出勤、通学前に食事をとる習慣はない。エスプレッソコーヒー(「砂糖のコーヒー漬け」とも呼べる代物だ)を一杯飲んで仕事に来る。10時ごろに朝食。12時に昼食。そして16時ごろおやつ。夕食はあまり食べない。おやつのせいか、ドミニカ人女性は太っている人が多い。自分は太らないように気をつけていたつもりが、最近、「Gorda(太ったね)、Linda(かわいくなったよ)」と2度も言われてしまった。「gorda」という言葉は必ずしも失礼には当たらないようなのである。しかし、その誉め言葉は私の心の傷となった。

 年間を通して最高気温30度前後という気候と強い太陽の陽射しは、果実をたわわに実らせるだけでなく、人々から勤労意欲を奪う。そんな国で育った、本当におおらかで陽気な人々との、教育の質の向上を目指しての活動は、戦いと言えると思う。しかし、ごはんのおいしさに高まる食欲とも、私は日々壮烈な戦いを続けている。

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物売りの男性。品物はプラータノ(青バナナ)。火を通して食べる

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アビチュエラをかけたご飯に肉料理とサラダが毎日の昼ごはん

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