国際協力の現場から

Twitter Facebook はてなブックマーク Yahoo!ブックマーク livedoor メール

 2004年から2年間、村落開発普及員として派遣されたドミニカ共和国コンスタンサ市は農業が盛んで裕福に見える。しかし同市にも貧困地域があり、そこが私の活動場所だった。担当した地区は住民の大半が農業の日雇い労働者で、月収1万円以下。

 地主は自分で水道を引き「農業のための水」を使うことは惜しまないが、人々が必要な水路は設置されておらず、常に「人々のための水」は不足していた。
 住民組織メンバーとともに生活調査をしていた私は、すぐに「水問題」と直面した。聞き取り調査によると、住民の97%が「水がないことが生活を困難にしている」と答えた。
 住民は12年間水道の設置を市に訴えていたが返答はなかった。その原因を分析することで今までの問題点を明らかにすることにした。市に対して「水道を作ってくれ」と訴えていただけで顕在する問題の説明が不足していたのだ。
 水汲み労働は主に女性や子どもの仕事で毎日約4時間を費やし、未就学児童が約30%もいた。「探して持って帰ってきた水の量が少ない」という理由で親から虐待を受けるケースも報告されている。また不衛生な環境が原因と考えられる病気の統計もとった。
 情報をまとめ市役所に相談したところ、長年願い続けたプロジェクトが計画されることになった。就任したばかりの市長が関心を持ったことも大きな要因だ。市が機材を提供し、住民が労働力を提供する。水源は9キロ離れていたが、住民たちが工事を進め、その地区全てに水道が設置された。住民と調査を始めて1年後、彼らは彼らの手で12年間願い続けたものを手に入れた。

 先日10カ月ぶりに同地区を訪ねた。「僕らに足らなかったことを教えてくれてありがとう。これは千里と僕たちのプロジェクトだよ」、そう言いながら、自分の家の水道を見せてくれた時には涙が溢れた。彼らの苦労や希望を知っていたために、水道プロジェクトの実現は私の夢でもあった。数年後、彼らの生活がどのように改善されたのか、また訪ねるのが今から楽しみだ。

【写真】

一連の水道プロジェクト関係を担うグループを住民組織の中から形成

【写真】

コミュニティに設置された共同水道で水汲みをする子どもたち(水道が出来る前、2006年)

【写真】

水道工事を実施中。コミュニティの人たちがパイプをつなげています


【写真】

一緒に調査を行った住民組織のリーダー。彼の家にも水道が設置されました(2007年)

Twitter Facebook はてなブックマーク Yahoo!ブックマーク livedoor メール