やる気の源は生徒たちの笑顔
赤道直下にあるエクアドルは日本の約4分の3の面積でありながら、人口は約1200万人(東京都と同じくらい)と一見少なそうに感じられるかも知れませんが、実は南米の中では一番人口密度が高いそうです。多様な地形を持つエクアドルは、南北に走るアンデス山脈を境目に、太平洋に面した海岸沿いは赤道直下熱帯の低地。アンデス山脈が走る山岳地帯は比較的涼しく春のような気候が続く高地。そして、山脈を挟んだ太平洋との逆側にはジャングルが広がるアマゾン地域というように3つの気候に区域されています。また、ダーウィン博士が発表した進化論で有名な"ガラパゴス諸島"はエクアドルの領土なのです。
私の任地である首都キト市は山岳地帯にあり、標高2850mに位置する人口約130万人の街です。年間平均気温は約15度から17度と過ごしやすい気候が続きますが、赤道直下ということもあり、日差しは強く、乾期の日中は30度近くになることもあります。また、400年前の植民地時代の教会や建造物が今もたたずむ旧市街は、1978年にUNESCOから『世界遺産』としての指定を受けています。
私の配属先は、音楽を主体とした教育をするNGO文化財団で養護学校です。養護学校というからには、もちろん通学しているのは障害を持っている生徒のみです。学校を設立した校長先生は過去ルーマニアに6年間留学、国民のために功労し、数々の賞を受賞した人物として知られる名トランぺッターでもあります。きっかけは校長先生が左目に事故を負ったことから、『障害を持つ子どもたちのために音楽を生かしたい』と思われたことと聞かされています。学校創立から15年が経過して、青年海外協力隊として派遣される音楽隊員(ピアノ教師)は私で3代目です。オリジナルのCDやTシャツの製作・販売をして学校の運営費に充てています。生徒は年齢別にクラスは分けられていますが、卒業はありません。イメージとしては日本にある施設などのデイケアが形を変えてそのまま学校になった印象を受けています。私は、そのような形式にとらわれていない自分の活動先が大好きで、生徒たちの笑顔に出会う度に『今日も頑張ろう』とやる気にさせられています。

巧みな演奏を披露する視覚障害を持つ生徒

筆者の教え子たち

UNESCOから『世界遺産』の指定を受けた旧市街

赤道記念碑。エクアドルはスペイン語で赤道の意味をもつ