観光振興による地域開発
スペイン語、グアラニー語を公用語とするパラグアイ共和国の首都アスンシオンから83キロ東に位置する、パラグアリ県サプカイ市。グアラニー語で「サプカイ」とは、「叫ぶ」という意味を持つ。なぜこのような意味合いを持つのか・・・!?
1800年代初期、イギリス人がこの地に移り住み鉄道の鉄工所を立ち上げ、南米で初の薪を燃料とする蒸気機関車が1998年ごろまで走っていた。汽車の汽笛と鉄工所の騒音で一日が始まり、この市は栄えていたようだ。この騒音が毎日叫んでいるかのように聞こえたことから「サプカイ」と名付けられたらしい。私が赴任した当初(2008年11月)は、市に活気がなく廃れていく一方かのように見えた。
2009年1月から、市民が中心となり7つの組織で構成された「観光プロジェクト」を立ち上げた。また、2010年3月末には、一定区間でアスファルトの道が開通し、交通量が増えると見込まれている。そこでサプカイ市はその中心に位置することから、市を観光地化し多くの観光客および訪問者の獲得を狙っている。また、赴任当初配属された養蜂組合では、JICAプロジェクトで支援された出荷センターの利用価値を挙げるため、食品加工に力を注いでいる。それらを全面的にバックアップする機関が、市役所、観光省、県庁、政府の機関である国立手工芸院、SINAFOCAL(数多くの講習会を無料で提供)、アスンシオン大学である。
観光資源のメインは、国の文化遺産である鉄道の鉄工所、イギリス人が当時住んでいた住居跡、1932年から1938年、パラグアイとボリビア間で起こったチャコ戦争時に、ボリビア人捕虜が作り上げた石畳の道である。そして、何といっても大自然に囲まれ丘の上から眺める壮大な景色は最高である。また同市は、パラグアイで初めて橋が架けられ、水道、電気が引かれ、南米で初めて女性のサッカーリーグが行われた地でもある。
「市民の生活生計向上」 これが私たちの最終目標である。今まで取り組んできた活動及び現在進行形の活動は以下のとおりである。
1. 鉄道鉄工所内の一部の建物を修復し、「道の駅」をつくる(草の根文化無償資金申請中)
2. 桜とラパチョ(注)の植樹祭(2009年9月)
3. EXPO2009。日本の文化紹介と観光プロジェクト紹介(2009年12月)
4. 日本風公園造園計画中
5. 貧困地区「セロロケ」にて、パンの講習会、養蜂、小農自立支援化プロジェクト
6. 市の創立100周年記念祭(桜とラパチョの植樹計200本)計画中
7. 鉄道博物館、イギリス人の住居跡修復プロジェクト
パラグアイの政府機関や大学と協力し合って、多くのプロジェクトを進めてきている。それに伴い、市の生産面や社会面の強化にも取り組んでいる。道の駅ができれば、市で生産した作物や加工品、民芸品の販売、竹細工の教室、学生が鉄道や市の歴史を勉強できる場などを設ける予定である。この計画が進めば、市民の雇用増加に大きくつながると思う。
「地域開発」とは、市民生活の維持と向上のための市民参加による地域社会の改善なのであろう。
(注)パラグアイでよくみられる落葉高木の一種。花の色には白、黄色、ピンク色があり、咲き方が日本の桜に似ている。(広報室)

薪を燃料として走る蒸気機関車

桜とラパチョの植樹祭(2009年9月)

EXPO2009に参加した隊員が『島唄』を合唱(2009年12月)

パンの講習会

1800年代初期、市に移り住んだイギリス人の住居跡(文化遺産)

丘の上から眺める夕日