「アレキパ共和国」に暮らして
「アレキパ共和国」に入国するには、この国の土産物屋に行き、8ソーレス(約250円)を支払えば、瞬時にパスポートを発行してもらえる。人々は、自分たちをアレキパ人と呼び、非常に愛国心(地元愛)が強いことで有名だ。19世紀末のチリとの戦争時、首都リマが占拠された後も、アレキパは最後まで戦ったことや、ペルーのリーダーや著名人を多く輩出したことなどが背景にあるらしい。ペルー国内に「もう一つの独立国がある」というのが誇り高いアレキパ人の主張だ。
このペルー南部に位置するアレキパの工業系職業訓練学校(SENATI)で2年間、電子工学の教材開発や実習設備の改善等のお手伝いをしてきた。
アレキパは、チャチャニー山やミスティー山といった6,000メートル級の山の麓、標高2,300メートルの高原に、インカ帝国によって開かれた街。昨年には、スペインの統治による建都から470年を祝うイベントが、盛大に行われた。白い火山岩で築かれた街並みは、「白い街」として有名で、中心部は世界文化遺産に登録されている。熱帯にあるが、標高が高いため、年間を通じて昼間は20度前後、夜間は10度前後で、毎日が晴天の「常春」の街である。
健康のため、毎朝のラジオ体操と土曜日のテニスに加え、日曜日は30分以上の散歩を心がけた。散歩は、飽きることがない。山高帽をかぶり髪の毛を三つ編みにした女性や、街頭の靴磨き、体重計測屋、刃物研ぎ屋、駄菓子の流し売りなど、さまざまな人に出会うことができるからだ。
アレキパは、食いしん坊が多いことでも有名で、伝統ある郷土料理が食べられるレストランがたくさんある。いつも食していたのは、アンティクーチョ。牛の心臓を2、3センチに切り、スパイス入りの酢に一晩漬け込み、トウガラシのソースをつけて焼いたもので、コリコリした食感は格別だ。
また、アレキパ郊外にはたくさんの見どころがあり、中でも、コンドルが見られるコルカ渓谷は有名。コンドルの生息には、標高3,000~5,000メートルの断崖絶壁と、餌となる動物が多く上昇気流が発生する場所が必要で、ペルー国内でも、野生のコンドルを見るのは容易でない。空の王者が頭上を通り抜けた時、その大きさとスピードに圧倒され、活動の困難さや忙しさも、一時忘れてしまう。
ペルーの経済成長率は6~7パーセント(2010年)で、アレキパもマンションや大型ショッピングセンターなどの建設ラッシュで活況を呈している。一般大衆も車が持てるようになり、道路は車であふれ返っている。このような中、企業からのSENATIへの期待も大きく、カリキュラム・実習の内容の充実や新規技術の導入など、さらに一層の努力を期待したい。また、「アレキパ共和国」の益々の発展を祈りたい。

本物そっくりに作られた「アレキパ共和国」のパスポート

アレキパ富士と呼ばれるミスティー山(5,821メートル)

客を待つ「体重計測屋」の女性

アレキパの郷土料理レストランの女性オーナーと

コリコリとした食感のアンティクーチョ

深い渓谷の上を舞うコンドル