ビシケクのバザール
東京では最近市場(いちば)という言葉を耳にすることが滅多にありません。子供のころ住んでいた大阪にはスーパーもコンビニもなく買物は市場しかありませんでした。八百屋さん、お魚屋さん、お肉屋さんなどが所狭しと並べた商品を売る姿かたちにはとても懐かしさを感じます。キルギスタンでは今でも市場(バザール)が庶民の買物の場所です。
毎週一回、その週の食材のうち野菜、果物は必ずバザールで買うことにしています。街中のスーパーで売っている野菜、果物は値段が高いだけで鮮度も品質も悪いからです。日本の市場と違ってバザールでは商人一軒あたりの屋台の幅が普通2m以下で、売っている商品も品数が少ないです。
例えば、私のキルギス語の簡単な会話の相手になってくれるので、勝手にキルギス語の先生と名づけているアナーラさんはリンゴとミカンとザクロを売っています。アナーラさんの屋台には時折ナシが追加される程度で、本当にリンゴとミカンだけを売っています。一日にどれだけ売り上げているのかちょっと心配になりますが、アナーラさんは18歳、学校を出たばかりであまり売り上げのことを気にしている風はありません。バザールの中にはブドウとバナナ、パイナップルとキウィといった輸入物だけを扱っている羽振りのよい店もありますが、普通は売り子一人が両手を広げて届く範囲で屋台の大きさが決まるようです。
私が行くビシケク市内のアク・エミール・バザールは規模が小さいのですが、雑踏がなくゆっくり買物ができます。「キュウリとトマト」屋さん、「ジャガイモとニンジンとタマネギ」屋さん、という風にいつも決めた屋台で買っています。売り子も顔を覚えていてくれて、傷みのすくない商品をより分けてくれます。もっとも、値引き交渉をしないお客なので愛想がいいのかもしれません。
キルギスタンには60年前に極東ロシアから強制移住させられた朝鮮系の人々が約3万人住んでいます。もう3代目が家計を支える時代になり、朝鮮語は段々忘れられてロシア語が日常語になっています。しかし、食生活はしっかり伝統を守っているようでキムチ、トウフ、湯葉、春雨などがバザールで売られています。朝鮮系の人々はバザールではなぜかお惣菜屋さんに多いようです。
私のキルギス語の先生がいつまでもリンゴの売り子であって欲しいと思っていますが、そのうちはやばやとお嫁に行ってしまうのでしょうか。

お惣菜屋さん

お米屋さん

キュウリとトマト屋さん

ビシケクのバザール

リンゴを売るアナーラさん

肉屋さん