私の村と母の味

Twitter Facebook はてなブックマーク Yahoo!ブックマーク livedoor メール

私の任地・タムチ村は、イシククルという湖のほとりにあります。
「タムチ」は日本語で「しずく」という意味です。
まず、この素敵な名前でタムチ村が好きになりました。
なぜ「しずく」か?、というと。
キルギスにはあまり雨が降らないのですが、長い冬が終わったころ雨が降ります。雨が降ると人々は春の訪れを感じ、「春が来た、愛の季節が来た」と、春の訪れを喜びます。
タムチ村にも雨が降り、春がやって来ますが、雨が降る際はポタポタとやさしい雨が降り、すぐに止んでしまうので「タムチ(しずく)」という名前が付いたそうです。


さて、このタムチ村には、夏に国内外から多くの観光客が訪れます。
キルギスの人々は、「夏にイシククルに入らないと冬に風邪をひく」と言います。風邪をひくと「イシククルに入らなかったからだ」と怒られてしまいます。
高い山々に囲まれた「中央アジアの真珠」と呼ばれるイシククルは、私のお気に入りです。
夏のイシククルはもちろんのこと、冬の静けさの中に太陽の光を浴びて煌々と輝くイシククルもまた魅力です。イシククルは「イシク(Ысык)=熱い、クル(кѳл)=湖」(注)という意味で、湖に塩が含まれているため、冬でも凍りません。誰もいないイシククルのほとりで波の音を聞きながら、羊の群れを眺めながら、ゆったりとした時の中で過ごすこともまた絶品です。

 
絶品!といえば、キルギスの母の味(と私が勝手に思っている)、バレーニャ(ジャム)とラーザとよばれる調味料です。バレーニャは各家庭で手作りします。大きな鍋に果物と砂糖を入れ、ぐつぐつと長時間煮込みます。煮込んでいる時の香りは、とろけそうになるくらい幸せな気分にしてくれます。
お茶の時間には必ずバレーニャ! バレーニャがないとお茶が飲めない、というほどです。特に、木イチゴのバレーニャは風邪をひいた時にお茶に入れて飲むといい、と言われています。鮮やかな赤色の甘酸っぱいジャムです。


私のもうひとつの母の味であるラーザは、細かく刻んだニンニクに、赤唐辛子、熱した油を加えた調味料です。キルギスでよく食べられるラグマンという麺料理に、スープに、白いご飯にもよく合います。私はこのラーザをそのままでも食べてしまうほど、大のお気に入り!
みなさんもキルギスへお越しの際は、ぜひ「母の味」ご賞味下さい。


帰国の際は「キルギスの母の味」をたっぷりと「お持ち帰り」しようと思っています。


(注)Ысык、кѳлはキリル文字の表記(広報室)

【写真】

イシククルとその向こうに見える山脈

【写真】

イシククルとほとりに建つユルタ(移動式住居)

【写真】

湖畔でのんびりする牛


【写真】

食卓に並ぶバレーニャ

【写真】

バレーニャの材料となる果物

【写真】

大きな鍋でぐつぐつ煮込みます

Twitter Facebook はてなブックマーク Yahoo!ブックマーク livedoor メール