たすきをつなぐ-Tシャツに思いをのせて-
2011年5月29日に、マレーシアで第6回プトラジャヤ国際駅伝大会が開催されました。
初めて駅伝のポスターを見たときは、「マレーシア」と「駅伝」の組み合わせに意外性を感じました。マレーシアに2年間住んでみて、マレーシア人はあまり歩いたり走ったりするのを好まないように思っていたからです。そういう私も走るのが大の苦手で、電車に乗り遅れそうになっても早歩きをする程度。JICAマレーシア事務所で参加メンバーを募集していると聞いても聞こえないふりで、私の出張中にメンバー登録を済ませたと聞いたときは、ほっと胸をなでおろしました。
この国際駅伝は1チーム5人編成で、それぞれ3キロメートルずつ走ります。JICA事務所からは例年、どうにか5人集めて1チームを作っていたようですが、今年はなんと2チームがエントリー。東日本大震災に対するマレーシアからの義援金や温かい励ましの言葉に対して、感謝の気持ちを示そうという事務所の意向でした。
そんな大切な意味があるのなら、私も参加すればよかったかなと罪悪感を覚えているころ、おそろいのTシャツを作ろうという話が出てきました。できればマレーシアに感謝を示せるようなものにしようと。広報担当の私にその依頼がきたときは、「これで私もまがりなりにも参加できる」とうれしく思いました。
悩みに悩んでデザインしたTシャツ。胸元にはたくさんの手が日の丸を支えているロゴを、背中には「トゥリマカシ・マレーシア(ありがとうマレーシア)」の文字を「JICAカラー」のさわやかな水色でデザインして入れました。
当日、開催地のプトラジャヤに着くと、人の多さに驚きました。年々参加者が増え、今年は約1,000組の5,000人が挑戦するとのこと。おそろいのユニフォームに身を包んだ大勢の参加者を見ながら、私たちのTシャツに気づいてもらえますようにと祈りました。
仲間たちの勇姿をカメラに収めようと、動き回っていて気づきませんでしたが、たくさんのマレーシア人が、私のTシャツを見て「あ、あのTシャツの文字...」とささやきあっていたと、後で聞きました。また、たすきを待っていたメンバーが、ほかのチームのマレーシア人たちに「その『ありがとう』という気持ちは、何に対して?」と何度も聞かれたそうです。
マレーシアへの感謝の思いをのせ、無事に3キロメートル走り終わったみんなの達成感あふれる表情は本当にすてきでした。私も来年はエントリーから逃れられないだろうなと、運動不足の身体を心配しながらも、それならどんな思いをのせて走ろうかなと、今から少しだけ楽しみにしているところです。

スタートを待つ、たくさんのマレーシア人

大勢の参加者が優勝を目指してひたすら走る

JICAチームの第4走者からアンカーへ、いよいよたすきが渡された

背中に「ありがとうマレーシア」の文字

胸元には日本の復興への願いを込めたロゴ

走り終わって参加者全員で記念撮影。みんなの笑顔には達成感が