深い深いお辞儀
2010年3月1日、TG(タイ国際航空)305便で生まれて初めてヤンゴンに到着してから、トータルで414泊する中で、ミャンマーの人々に対するイメージが全く変わりました。人見知りで口数が少ないイメージを抱いていましたが、話好きで、食べることが大好きで、信仰心が厚くて、これまで私が行ったどの国よりも親日的でした。
ミャンマーの人々は、知らない人とでも平気で不思議なくらい長話をします。路上、乗り物の中、場面は選びません。職場でも、まずは話をすることが基本のようです(でも面と向かってのけんかは滅多にしません)。
私が携わっている「ソフトウェア及びネットワーク技術者育成プロジェクト」では、主にICT(情報通信技術)関連大学の卒業生を対象に、ヤンゴンコンピュータ大学の教員が、日本人専門家から移転された技術をもとに授業やワークショップを行っていますが、教員がこれらに対する意見や感想を生徒から回収する際に、この話好きのコミュニケーションが効果的に使われます。質問票によるアンケートと併せて、全員が一堂に会して、ひざを突き合わせて話をするやり方によって、教員は生徒からリアルで具体的な意見を回収していました。
また、ミャンマー人は食べることが大好きです。朝の出勤風景を見ると、みんな、サンダル履きでロンジーと呼ばれる布を腰に巻き、銀色の円筒形のものを持って歩いています。少ないもので2段、多いと4段もある弁当箱で、おかず、汁物、ご飯が入っています。ランチタイムになると、これをみんなで分け合ってにぎやかに食べます。外国人にとっては、グンと相手に近づける大事な場です。
最も印象深く心に残っているのは、ミャンマー人が拝む姿です。寺院で拝む際には、素足で、地面に腰を下ろして、深く深くお辞儀します。また、ミャンマーでは、生徒が教師に対しても深く深くお辞儀をします。自分の知らなかった知識に触れ、できなかったことができるようになったことへの感謝の表れです。
ヤンゴンコンピュータ大学では、このプロジェクトが始まる以前は座学中心で実習不足が課題となっていましたが、専門家からの技術移転に加え、コンピューターやネットワーク機材を使った演習ができる環境が整いました。これによって、教員は、身に着けた新たな技術を使ってソフトウェアを動かし、ネットワークを設定し、それを生徒たちに教えることができるようになりました。教員にとって、プロジェクトで技術移転を行った専門家は師となり、驚くほど深い深いお辞儀を受けることになるのです。
ミャンマーには、日本に親しみを持っている人が多く、日本人だからと街中のタクシーで値引きしてもらったこともあります。私は海外でこうした経験をするのは初めてでした。今後も日本ファンを増やしていけるよう、また機会が得られたら戻ってみたい土地になりました。
【関連リンク】
ソフトウェア及びネットワーク技術者育成プロジェクト

プロジェクト専門家に謝意を表す教員や生徒たち