省エネのノウハウをセルビアに
2009年6月から実施中の「エネルギー多消費セクターにおけるエネルギー管理制度導入調査」は、日本の「エネルギー管理制度」を、セルビアの省エネ政策に活用するためには何が必要かを調査する案件です。この制度は、エネルギー消費量が多い工場や事業所などに国家資格「エネルギー管理士」を持った人材を配置し、具体的な省エネ活動を進めるものです。
セルビア版エネルギー管理制度づくりには、現地の実情や周辺国基準との整合性を考慮する必要があります。そこで、セルビアのエネルギー管理状況を把握するため、現地の事業所を対象に、日本のエネルギー管理制度を導入した場合を想定した調査を実施しました。
(1)地方病院での調査
首都ベオグラードから車で1時間半ほどの街にある地方病院で、省エネに関する研修と診断などを実施しました。しかし結果は、病院職員の省エネ意識の希薄さが目立つ調査となりました。
病院の最大の使命は、人命を守ることです。そのため職員は、本来業務に直結しない省エネのために、組織のシステムを変えようと積極的にはなりませんでした。この病院には省エネの実施体制がないだけでなく、省エネ推進のための予算もありませんでした。省エネの推進には、個人と組織の双方にその必要性を感じてもらう仕組みづくりが必要だと実感した調査でした。
(2)乳製品工場での調査
ベオグラード近郊の乳製品工場の調査では「セルビアにもエネルギー管理制度が根付くのでは」との希望が見えました。この工場にはエネルギー管理責任者がいて、私たちの提案が受け入れられる体制ができていました。例えば、提案の一つ、エネルギー効率の悪い裸バルブ(注)の保温対策は、瞬く間に実行。中長期の省エネ計画の立案などの課題はあるものの、明るい希望が見えた調査となりました。
(3)ワークショップでの発表
調査の終盤には、エネルギー管理制度の設計に関するワークショップを開催。調査対象組織の職員がエネルギー管理に関する活動を発表しました。調査の結果に関係なく、実際の省エネ事情を紹介するという目的で開催したものですが、乳製品工場職員の熱心な発表に、省エネ意識醸成の可能性に一筋の光を見出しました。
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バーベキュー大会
調査が収束したころ、疲れ果てているであろう調査団への心遣いなのか、相手先機関の方がわれわれをバーベキューに招き、日本とセルビアの知られざるつながりを紹介してくれました。
ホテルを出発した調査団の車は、道なき道を山の中へ。皆が不安になり始めた頃、目の前に不思議な形の建物が現れ、デュシャン氏が出迎えてくれました。この方は「セルビア日本友好協会」を設立し、日本好きが高じて、富士山の形をした家を建て、日本人を招いて交友を深めているそうです。
当日はベオグラード大学で日本語を教える二人の日本人も招かれており、セルビアでの苦労話などをうかがいました。
バーベキューはまず、セルビアのお酒、ラキアで乾杯。テーブルにはボリューム満点のごちそうが並びます。続いて、日本の歌やセルビアの伝統的な恋の歌をアコーディオンの伴奏に乗せ、皆で大合唱。音楽に合わせて踊ったり、隣のコートでサッカーをしたりと、賑やかなパーティーは日が傾くまで続きました。彼らにとって、仕事を忘れ、気の合う仲間と集い合う週末は、かけがえのない時間に違いありません。セルビア流のホスピタリティーと余暇の楽しみ方を堪能した週末でした。
また、現地でがんばる日本人がセルビアの人々と親交を深めている姿にも感動し、われわれ調査団もがんばろうという思いを強めた次第です。
(注)通常は省エネ対策として、ボイラー配管(バルブ)を保温材で覆い、管を通る水の温度を保つようにする。「裸バルブ」の状態では管の保温能力が低く、水温を保つためにボイラーを稼働させる必要があり、結果としてエネルギー使用量が増える(広報室)。

病院での省エネ研修風景

乳製品工場で、省エネ方策を説明する調査団員(左から2人目)

乳製品工場では、調査団が提案したバルブ用保温材の巻きつけがすぐに実施された

ワークショップで発表する乳製品工場の省エネ担当者

富士山を模したデュシャン氏の家(右)。左の看板には「ニッポンノイエ」の文字が

アコーディオンに合わせて歌うセルビア在住の日本の方々(中央奥)
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