イスラム教徒とともに初ラマダン─断食後の楽しみ─
中東で初めて珠算を取り入れることになり、私は珠算隊員としてヨルダンに赴任しました。私が活動を行っているのは、ヨルダン南部に位置するワディムサ。インディ・ジョーンズの舞台にもなったペトラ遺跡がある町です。
アラビア語圏での指導法について悩みが尽きない中、楽しみなのはやはり食事。私は毎食、大家さんのご家族と一緒に食卓を囲んでいます。
ヨルダンでは人口の9割以上がイスラム教を信仰していますが、イスラム教徒はラマダン(断食月)の1ヶ月間は日の出から日の入りまで断食します。ラマダンは月の満ち欠けによって時期が決定され、今年は9月13日より開始されました。ラマダン中、彼らにとって日没後の食事は最大の楽しみ。
19時前にアザーン(礼拝の呼びかけ)がモスクから聴こえてくると、まず食べるのは濃縮した干柿のような味の乾燥ナツメヤシ。次に杏や梨のジュースを飲み、お腹を慣らしてからイフタール(断食後最初の食事)を頂きます。このイフタールは普段の昼食で出るお米料理の他にスープ、サラダ、揚げ物、食後のお菓子などいつもより豪華な料理が並びます。
その中から私のお気に入りをいくつかご紹介します。
「サンブーサック(アラビー風揚げ餃子)」
極小さく、さいの目切りにしたじゃが芋とみじん切りの玉葱・イタリアンパセリを塩で炒めたものを帯状の皮に三角形に包み、揚げたものです。油の甘い香りとパリパリと香ばしい皮、メークインのねっとり感を一度に楽しむことができます。
「コフタアサービア(羊肉団子のゴマスープ煮込み)」
羊肉・玉葱・イタリアンパセリをミンチにして塩と香辛料で味付け、指の形にして揚げたものをゴマペースト、ヨーグルト、ニンニクなどで作ったスープで、じゃが芋とともに煮込んだ料理です。油と塩を入れて炊いたアラビーご飯にかけて食べます。酸味の強いスープ料理が多い中では珍しくまろやかな味。コフタも新鮮な羊肉を使うと臭みがなくさっぱりと頂けます。
「ガターイフ(ラマダン菓子)」
直径10cmほどに焼いた生地にナツメヤシの実やクリーム、ナッツ類やスパイスなどを入れ、餃子のような形にして油で揚げ、シロップにくぐらせたもの。揚げたてを頂きます。味はまず噛んだ瞬間に油と甘いシロップがどっと口の中に入ってきます。次にパリッという皮の表面を越えると皮の甘み、クリームの油、ナツメヤシの甘みと次々に油と甘みがおそってきます。こんな攻撃的な甘さにもラマダン中は喜びを感じることができます。
断食中は空腹感を知ることで貧困や飢えで苦しむ人たちを想います。朝からの空腹に耐えたあとの食事は本当に美味しく、達成感と感謝の気持ちでいっぱいになります。

我が町の誇りペトラ遺跡は、新世界七不思議にも選ばれました

この時期、町のあちこちでガターイフの皮の屋台を見かけます

親戚が集まってイフタールを楽しむこともしばしば

食事の支度は大切なコミュニケーションの場(右が筆者)