58歳にして初めて体験するアラブ、これもイン・シャー・アッラーだったのか(前編)
「アッサラーム アレイコム」。アラブ圏では毎日交わされる挨拶のワンフレーズである。アンマン郊外にあるこのバス停(ラガダン)は一部地方都市への始発点でもあるため、早朝から発着するバスや、乗り合いタクシーを待つ人でごった返している。立ちながらシャイ(紅茶)やトルココーヒー、円筒状にくるっと巻いたアラブ風のサンドイッチをほおばる人々。その中で、私も馴染みの屋台で甘く熱いシャイをすすりながら、人間ウォッチングをしている。向こうも珍しそうにちらっと見ていく。コーランの一節が聞こえてくる。見るもの聞くもの全てがアラブだ。驚きと感動の一日が始まる。いつものバス停に行くと、派遣先の職業訓練校の先生方が世間話に夢中になっている。何人いても全員と一人ずつ握手をし、挨拶を交わすのが毎朝のひとコマである。だんだん握手する手にも力がこもってくる。
58歳のシニア海外ボランティアとして、新生活が始まった。2年後には、この人たちとアラブ式のキスをしながら別れの挨拶をしに回っているであろうか。
去年の今頃は、というと、早朝、通勤電車のつり革にぶら下がりながら貴重な睡眠を取っていた。土曜日も遅くまでサービス残業をし、ぎりぎり終点の電車に飛び乗っていた。家と現場事務所を往復する生活を35年以上もやってきたのだ。こんなにも魅力的で素晴らしいアラブ文化が何千年も脈々と続いているとは! 実際目の当たりにすると、日本での生活との違いに驚くばかりである。
週末はダウンタウンのスーク(市場)での食料の買い出しだ。雑踏と古い街並み、色で表すとやはりセピア色であろうか。今日は狭い路地にも古着市が立っていて歩くにも大変だ。先週シャツとズボンを買った時、品定めでお世話になったエジプト人の店員が、笑顔と握手で迎えてくれた。この間は値段交渉で、ついこちらが折れてしまった。今日はもう少しねばってみよう。イン・シャー・アッラー!(神が望んだならば)。

アンマン郊外のバス停、マハッタラガダンの風景

アンマン近郊の遺跡で、小学生の遠足の子供達と

ローマ劇場よりアンマン市街を望む