ヨルダンの春
ヨルダンの春は短い。ここでは夏が一番長く、ついで冬、
そして秋、春は極端に短くほぼ1ヵ月くらいであろうか。
3月、この短い春を楽しむべく、アンマンの北西、直線距離で60キロ強のヨルダン渓谷の北に位置する、イスラエル国境に近いぺラに向かった。参加者はアンマン補修授業校の生徒や親たちの他、希望者などおよそ50名であった。
道々、アンマンから南方に見られる砂漠地帯と違い、ここがヨルダンかと思われるほどの緑が多い風景がたのしめ、またぺラではいろいろな花を見られることがバスツアー主催者のふれこみである。確かにバスがアンマンを離れて1時間くらい経つにしたがって、風景が変わってくる。最初に目に入ってきたのは、農作地帯と大きなビニール・ハウスが連綿と続く光景。その後、山越えになると周囲は緑に覆われて、「スイスみたい」という人もいたが それもあながち誇張ではないようである。木々の茂みも思いのほか深い。
出発して2時間後ぺラの遺跡に到着。ぺラはエジプト古王朝時代にその名が知られ、エジプトとも交易があったカナン人の都市。その後ローマ帝国の植民都市デカポリスの一つとして繁栄したが、7世紀頃から衰退していった。今は、教会跡の列柱などが往時の繁栄を偲ばせ、現在オーストラリアが中心となって発掘を行っている。
遺跡の上方に丘があり、あたり一帯は色とりどりのお花畑である。
頑張って丘を上ると、途中春菊、アネモネ、ルッコラの花などが咲き乱れ美しい。
咲いている花はほとんどが小ぶりで、日本の高山植物のようである。
しかし、ここは高山ではなく海抜200メートルくらいの場所である。
噂によると、この近くにヨルダンの国花であるブラック・アイリスが咲いているらしい。
国花でありながらこの花にお目にかかれる人は少ない、いわゆる「まぼろしの花」である。
咲いている日数もことのほか短いとのこと。
ヨルダン滞在が長いというツアーの同行者もまだ見たことがないという。
もちろん我々夫婦も折にふれて注意してみているが見たことがない。
現地の人にいわれて探すこと1時間。
ついに発見!! なんとそれは古びたホテルの前にぽつんと咲いていた。
ブラックといいながらも真っ黒ではなく紫の濃いような色であり
シルクの光沢も感じられる国花にふさわしい気品のある花だった。
念願のブラック・アイリスを見て帰路につく。
ヨルダンの短い春の一日を堪能した日であった。

緑の山々。どこかスイスを想わせる

春菊の群生

花のじゅうたん

アネモネと春菊

ルッコラ

国花、ブラック・アイリス