世界遺産の街に住む
迷路のような路地に入り込むと、驚きが待っている。ひしめく塔状建築、その奥に見えるドームのモスク、ステンドグラスの窓、車のフロントガラスをすべり台にして遊ぶ女児、路地の通りを陣取ってカードゲームやサッカーに嵩(こう)じる子供たちの歓声――この街や人には情景がある。ここに住もう!と決めた。イエメンの首都サナアに「コミュニティー母子栄養・保健プロジェクト」の業務調整・研修計画の専門家として赴任して3日目に新市街のホテルを後にし、旧市街に移った。 サナア旧市街は周囲が5キロメートルほどの区域で、日干しレンガの要塞で囲まれた都市であった。伝説によると、旧約聖書創世記に出てくる「ノアの方舟」のノアの3人の息子の1人であるセムが開いた街とされている。この地に人が住み始めて以来...
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